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CROWN Ⅲ Lesson1/ Section3 和訳 [CROWN Ⅲ]

2011年の1月、コロンビア大学を退職したあと、キーンは日本を故郷とすることに決めた。次の年、89歳で、彼は日本に帰化した。

「もし東日本大震災がなければ、わたしが日本国籍を取得したことは、新聞に数行載る程度のものだっただろう。しかし、その災害によって、わたしの個人的な願いが特別な意味を帯びた。わたしは多くの手紙をもらった。手紙を書いてくれた人は、わたしが日本に住むことを決意したことで、励まされたり、感動してくれたりした」

キーンは、日本はこの災害から立ち直り、以前よりもさらにもっと素晴らしい国になると信じている。ちょうど敗戦後にそうであったように。彼は1945年の12月に約10日間、東京を訪れていた。残されたものは、倉庫と煙突だけだった。人々は、日本が復興するには50年以上かかるだろう、と言っていた。

1953年に、キーンは日本に戻ってきた。復興は、誰もがこのくらいなら可能だろうと思っていた速度よりもはるかに急速に進んでいた。日本は、まったく別の国になっていた。

1955年に、キーンは、東北を回って、芭蕉の足跡をたどった。彼は、仙台が、戦争によってほとんど完全に破壊されていたにもかかわらず、復興していたことを知った。彼は、中尊寺を含む、芭蕉が訪れた名所の多くを見つけることができた。

2011年に、キーンは、震災の6カ月後に、再び中尊寺を訪れ、震災によって住まいを損傷した人々を含む聴衆に対してスピーチを行った。対談のあと、キーンが以前に面識が無い、一人の老婦人が近づいてきた。

「彼女はわたしと握手をしてくれて、わたしは感動した。その握手が、わたしの日本との間の生涯の絆の象徴のように思われたからだ。わたしは日本に深く感謝している。この国の人々と一緒に生きて死んでいきたい。わたしは日本を愛しているし、日本のことを心から信じている。日本とともにありたい」

【語句解説】
retirement「退職」 naturalized「帰化した」 obtain「獲得する」 citizenship「国籍」 settle「定住する」 rebuild「再建する」 splendid「素晴らしい」 storehouse「倉庫」 chimney「煙突」 including「~を含んで(※前置詞)」 handshake「握手」 lifelong「生涯の」 bond「絆」

CROWN Ⅲ Lesson1/ Section2 和訳 [CROWN Ⅲ]

キーンは戦後アメリカにもどったが、日本に魅了されたままだった。1953年に、彼は再び、今度は京都大学で研究をするために、日本に来た。

「ある晩、日本人の友達と先斗町を歩いていた。そこはとても美しく、ほとんど我が目を信じられないくらいだった。狭い路地の両側に建物を連ねるのが日本風だった。それぞれの家には提灯がともり、路地には、金糸をきらめかせた着物を身につけて夜道を歩く若い芸者の姿があった。先斗町は、日本文化のもう一つの側面のように思われた。それは、女性的な側面であり、関ヶ原とは正反対だった。その夜は魔法のようであり、最近先斗町が、非常に変わってしまっているのを見ると悲しい気持ちになる」

「竜安寺もまた近くにあった。海軍の語学学校にいる間、この寺の有名な、砂と石の庭のことを聞いて、見たいと思った。時折、観光客が来たが、どういうわけか、石と砂の美しさが、観光客から当然上がるはずの感嘆の声を静めてしまった。わたしは、石庭を月の下で見に出かけた夜のことを最もよく覚えている。石と砂をじっと見て、おそらくは深刻な思いでいたわけでもなかったが、すぐそばに物音を聞いた。そちらを見ると、寺の住職の妻がわたしの隣にお茶を差し出してくれた。わたしたちはしばらく話をした」

「京都、つまり日本の全て、に関するわたしのもっとも印象的な思い出は、わたしが出会った人々に関するものである。それは、友人になった人々だけではなく、竜安寺の住職の妻のように、わたしに親切にしてくれたほとんど面識のない人々さえ、含まれる」

京都にいる間に、キーンは、「日本文学選集」をまとめた。それは、世界の日本学の発達に大きな影響を与えることになる重要な作品だった。

【語句解説】
lane「路地」 thread「糸」 glitter「キラキラ光る」 feminine「女性的な」 magical「魔法の」 nearby「近くに」 occasionally「時々」 tourist「観光客」 beauty「美」 silence「沈黙させる」 exclamation「叫び声」 gaze「じっと見つめる」 beside「~のわきに(※前置詞)」 priest「僧侶」 anthology「選集」 development「発達」 Japanology「日本学」

CROWN Ⅲ Lesson1/ Section1 和訳 [CROWN Ⅲ]

ドナルド・キーンは、1940年、タイムズスクエアの本屋で源氏物語を見つけると、すぐに日本に魅了された。

「わたしは読むことをやめられず、ときに何度も詳細に読んだ。わたしは源氏物語の世界とわたし自身の世界を比較してみた。本の中では、怒りは決して暴力に変わらず、戦争も起こらなかった。主人公の源氏は、ヨーロッパの叙事詩の主人公とは違って、10人の男にも持ち上げられない岩を持ち上げてしまうような肉体的に強い人間としては描かれていなかった。彼が悲しみを知っていたのは、王位を継げないからではなく、彼が人間であり、この世界に生きるものには悲しみが避けられないからだった。源氏物語を読む時までずっと、わたしは日本を主に軍国的な国家だと考えていた」

海軍の語学学校で日本語を勉強したあと、キーンは、第2次大戦中太平洋地区の情報将校として、務めた。彼の仕事の一つは、書類を翻訳することだった。それらの中には、日本軍兵士によって書かれたノートがあった。

「わたしは、それらの小さなノートが日記だと教わった。わたしがすでに翻訳していた印刷書類とは違って、日記には、英語で、その日記を見つけたアメリカ人に戦後、日記を家族のもとに返して欲しい、というメッセージが含まれていた。わたしは、そうしてはいけなかったのだが、その兵士の家族に返すことを計画して、日記を保管していた。しかし、わたしの机が検査されて、日記は没収された。これは非常に残念なことだった。わたしが実際に知り合った最初の日本人は、日記の作者たちだった。ただし、彼らは、わたしが遭遇したときには、みな死んでいたわけだが」

【語句解説】
fascinated「魅了された」 compare「比較する」 anger「怒り」 violence「暴力」 hero「主人公、英雄」 unlike「~とは違って(※前置詞)」 epic「叙事詩」 sorrow「悲しみ」 inevitably「避けられず」 militaristic「軍国主義の」 translate「翻訳する」 document「書類」 extremely「極度に」 contain「含んでいる」 be supposed to「~することになっている」 disappointment「失望」

UNICORN 2 LESSON1/3 和訳 [UNICORN 2]

問題は、わたしたちが、最初の受け取り方によってその物についての全てが分かる、と思い込む傾向があることである。しかし、上にあげた例が示すとおり、思い込みというものはそれほど正確ではない。わたしたちは、わたしたちの見方に影響を与える要素に注意すべきであるし、自分たち自身に代わりになる見方があるかどうか尋ねるべきである。それをするために、わたしたちは、想像力を十分に働かせる必要がある。

想像力を使うことはある場合には非常に簡単だ。サモトラケのニケとして知られる像を見ると、わたしたちは自由に彼女がその顔に浮かべていたかもしれない表情を想像することができる。勝利の女神として、彼女は勝利の喜びの表情を浮かべていたかもしれない。しかし、喜びの表情の中に悲しみの色があったことを想像することもできる。

何かが無いと、その欠けている部分を埋めようとして、想像力が働きだす。わたしたちには、いくつかの見方を持つことが十分に許されているし、それらの中には、一般に受け入れられているその像の説明には一致しないものもあるかもしれない。

【語句解説】
assume「思い込む」 assumption「思い込み」 alternative「代替の」 statue「像」 goddess「女神」 victory「勝利」 exultant「大喜びの」 absence「不在」 missing「欠けている」 generally「一般的に」
tend to do「~する傾向がある」 be free to do「自由に~できる」 set ~ in motion「~を始める」 fill in「埋める」

UNICORN 2 LESSON1/2 和訳 [UNICORN 2]

最も有名な例の一つであるルビンの壺には説明は必要ないだろう。図像と背景が、わたしたちの感じ方によって、交換が可能だ。しかし、興味深いことに、見る者は、前もって他の単純な顔の絵を見せられていると、その絵の中に顔を認める可能性が高くなることが知られている。

ベネチアの仮面についてはどうだろう。いくつの顔を見つけられるだろうか。1つだけ? もっと注意深く見れば、二つの特徴的な顔が認められるだろう。一人の男性と一人の女性がキスしている。最初は一つしか顔を見つけられないのは、おそらく、わたしたちが一つの顔に合う仮面は一つであると信じているからだろう。

実際、わたしたちの共通の信念は、数ある中で、様々な心理的、文化的要因によって、影響を受ける。わたしたちは、決してそれらから自由になることはない。さらに、これらの場合に重要なことは、わたしたちにはどちらの見方が正しいのか判断することはできない、ということだ。実は、どちらの見方も正しいのだ。しかし、わたしたちは、同時に両方の見方を持つことはできない。一方を持てば、他方は消えてしまうし、逆もまたそうだ。それらは、互いを覆い、隠してしまう。

【語句解説】
vase「壺」 interchangeable「交換できる」 discern「認める」 Venetian「ヴェネチアの」 distinct「際立った」 belief「信念」 affect「影響する」 psychological「心理的な」 factor「要因」 simultaneously「同時に」
in advance「前もって」 one another「お互い」 make out「理解する」 as a matter of fact「実は」 among others「数ある中で」 (be) free from「~がない」

UNICORN 2 LESSON1/1 和訳 [UNICORN 2]

「見ることは信じること」と諺は言う。確かにそれは正しいが、物事の見方にはいくつかある、ということを忘れがちである。言い換えると、物事を見るために選ぶ時間、距離、角度によって、物事は違った風に見える、ということだ。これは経験によって分かる。

昼間のある場所の見知った景色も、夜にそこに行ってみると、かなり変化する。遠くから見るとなだらかに隆起した小さな丘も、実際に登り始めてみると非常に急であることが分かる、ということがしばしばある。芸術家の中には、前から見ると意味が分からない奇妙な絵を書く者もいる。それらは、ある角度を取って見たときにのみ、はっきりとした像を形作る。

事実、わたしたちは、興味深い目の錯覚を作り出す数多くの例を知っている。時に双安定イメージと呼ばれるものを見てみよう。それは、それを見る者に二つの見方を許すイメージである。

【語句解説】
imagination「想像力」 distance「距離」 angle「角度」 steep「急な」 image「像」 vision「視力」 optical「視覚の」 illusion「錯覚」
from a distance「遠くから」 seem to do「~するように思われる」 make sense「意味をなす」 quite a few「かなり多くの」

CROWN English Communication Ⅱ Lesson10/Optional Reading 和訳 [CROWN Ⅱ]

伝達手段はメッセージか?

ヘンリー・ソーンヒルの手紙を読むと、彼の時代から手紙がどれほど大きく変わってきたかということが明らかになる。カカの手紙はどれをとっても芸術作品である。それらと、今日のほとんどの個人的な手紙を比較してみよう。

カカの手紙とカードは保管され大切にされるために手で注意深く書かれている一方で、今日の手紙はキーボードで素早く打たれ、スクリーン上で読まれ、すぐに削除される。それから、書く頻度について考慮してみよう。20年に渡って書かれたカカの1,200通の手紙は、世界で最大のイラスト付き文通のコレクションである。一方で、アメリカの平均的なティネイジャーは、毎月2,700通を超える数のテキストメッセージを送受信する。ある製品が供給過多になると、その製品の価値は低くなる。それぞれのメッセージの価値はより低くなる。

カカが孫に宛てた短い手紙を思い描いてみよう。

わたしの可愛いテディ、死ぬほど会いたいよ。そのうちに会おうじゃないか。来週少し時間が取れないかな。忙しくないといいんだが。じゃあな、カカ。

では、アメリカのティネイジャーであるジョーイが、友達に宛てて走り書きするところを想像してみよう。

よお、会おうか。来週は? 忙しい? J

もしかしたら、カカとジョーイの手紙に違いはないのかもしれない。書かれている内容は同じである。内容がそこに存在する全てなのだろうか。

50年前、マーシャル・マクルーハンは、伝達手段は伝達内容なのだ、と発言した。彼が言いたかったことは、メッセージが送られる形式が、メッセージの受け取られ方を決めるということだった。カカの手紙をテクストメッセージと比較してみると、マクルーハンの理論が確かめられる。親指をキーボードに押しつけてつづられたメッセージの中身は、質の良い文具によって注意深く書かれた手紙の中身と同一であるかもしれないが、メッセージの伝わり方は、異なっている。カカの伝達手段(質の良い紙、注意深い手書き、口調への配慮)は、テクストメッセージでは伝わらない、真剣さと尊敬のメッセージを伝えてくれる。

それは、送るべき重要なメッセージがあるときに、考慮すべきことである。あるいは、あなたが本当に気を配る人に手紙を書く時には。

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